有料検索のモデリング

検索広告の交絡因子としての検索ボリュームについて

因果推論をマーケティングに応用する際の最大の課題は、広告主様は、商品やサービスの需要が高まっているときにマーケティングに投下する費用を増やす傾向があるという点です。マーケティング費用の因果効果を分析する際の重要ポイントは、KPI の増加がマーケティング費用の増額によるものなのか、それとも本質的な需要の増加によるものなのかを明らかにすることです。

検索広告の場合、本質的な需要とマーケティング費用の強い相関性が特に顕著になります。検索広告は、広告主様がターゲットに設定した特定のキーワードに検索語句が一致した場合にのみ表示されるためです。本質的な需要が高い場合、オーガニック検索ボリュームも多くなるため、検索広告の合計費用も高くなります。そのため、オーガニック検索ボリュームは検索広告にとって重要な交絡因子となります。それを考慮しないと、検索広告に関する効果的な推論を導き出すことは困難です。

これは、検索広告の予算が多い広告主様の場合は特に問題となります。有料検索広告のボリュームは、オーガニック検索ボリュームと密接に連動する傾向があるためです。ただし、このことは、予算が少なく、需要の多い期間に予算を増やす広告主様や、そうした期間にのみ検索キャンペーンを実施する広告主様にも影響します。

Meridian では、Google 検索広告の交絡因子として、Google のオーガニック検索ボリューム(GQV)をモデルに含めることができます。通常、Google 以外の検索エンジンからのオーガニック検索ボリュームは利用できません。Google 以外の有料検索広告をモデル化することが目的で、その検索エンジンのオーガニック検索ボリュームのデータを利用できない場合は、次の方法をおすすめします。

  • GQV が Google 以外の検索ボリュームの適切な代用指標になる場合は、バイアスを軽減できる可能性があります。この仮説を評価することをおすすめします。この仮説を評価する方法の 1 つは、次のようなプロットを作成することです。

    メディアのインプレッションと GQV の相関関係

    上のグラフは、メディアのインプレッションとブランド名の GQV の相関関係を Y 軸に、メディアのインプレッションと一般的な語句の検索ボリュームの相関関係を X 軸にプロットしています。

  • GQV が、Google 以外の検索ボリュームの適切な代用指標になるという仮説を拒否する場合は、Google 以外の検索エンジンをモデルから除外する必要があります。

広告のターゲティングによる選択バイアスの問題の詳細については、メディア ミックス モデリングにおける有料検索のバイアス補正をご覧ください。