リセット可能なデバイス識別子のマッチング

リセット可能なデバイス識別子(RDID)は、測定とともに、Ads Data Hub でのファーストパーティ データのマッチングにも利用できます。RDID に対するクエリによって、アプリ内で発生したインプレッションやコンバージョンの分析が可能です。また、自社データセット(たとえば顧客のアプリでの取引)との結合により、メディアが自社アプリのコンバージョンに及ぼす影響について理解を深めることができます。

RDID 分析は、ファーストパーティ データが主にモバイルアプリ由来の広告主様(配車サービス企業やモバイルゲーム企業など)や、モバイルアプリで多数のインプレッションを獲得している広告主様(YouTube モバイルでの露出など)が、インプレッション データを RDID 付きのファーストパーティ データセットと結合させて有用性を高めたい場合に最適です。RDID データにはコネクテッド テレビ(CTV)の広告 ID(IFA)も含まれており、広告主様はコネクテッド テレビ デバイスでのユーザーの行動やキャンペーンのパフォーマンスを分析できます。また、RDID マッチングの導入に必要なセットアップ作業はごくわずかです。

RDID マッチングの豊富な用途の例:

  • 広告データをテレメトリーで強化: アプリ内行動データを Ads Data Hub のデータと結合することにより、広告との接触がアプリ内でのユーザー行動に及ぼす影響を評価できます。
  • YouTube でのパフォーマンスを測定: YouTube のトラフィックの多くがアプリ内で発生するため、RDID による結合は YouTube キャンペーンがアプリのパフォーマンスに及ぼす影響を評価するのに役立ちます。
  • モバイルおよび CTV のチャネルでのユーザー行動を分析: CTV IFA を RDID 分析に組み込むことで、ファースト パーティのアプリとコネクテッド テレビ プラットフォームでのユーザー行動をより広範に理解できます。
  • ブランディング キャンペーンがアプリ内コンバージョンと LTV に及ぼす影響を定量化: CRM 内の LTV データを結合すれば、ブランディング キャンペーンによるアプリ内コンバージョンと LTV の増加を測定できます。

制限事項

  • iOS でのイベントについては、iOS 14.5 以降のアプリに由来するデータをマッチングできるのは、該当ユーザーが Apple の App Tracking Transparency フレームワーク内で許可を出している場合のみです。
  • RDID の表に Gmail のデータは記載されません。

Ads Data Hub でファーストパーティ データを使用するには、EU ユーザーの同意ポリシーAds Data Hub ポリシーに則って、Google へのデータ共有に対する EEA のエンドユーザーによる適切な同意を取得していることを確認する必要があります。同意取得の確認は、Ads Data Hub アカウントごとに、新しいファーストパーティ データをアップロードするたびに行う必要があります。1 人のユーザーがアカウント全体を代表してこの確認を行うことができます。

分析クエリに適用される同じ Google サービス クエリルールが RDID クエリにも適用されます。たとえば、マッチテーブルを作成する際、EEA 内のユーザーに対してサービス間クエリを実行することはできません。

Ads Data Hub で同意獲得を確認する方法については、欧州経済領域の同意に関する要件をご覧ください。

RDID マッチングの仕組み

Ads Data Hub が作成する RDID テーブルには、追加で device_id_md5 列が含まれています。user_id 列を含む adh.* テーブルは、それぞれ対応する *_rdid テーブルを持ちます。device_id_md5 列には、MD5 ハッシュされた RDID が格納されています。device_id_md5 はハッシュされているため、自社データセット内の RDID もハッシュする必要があります。変換処理は以下のようになります。

UPPER(TO_HEX(MD5(UPPER(raw device id string))))

RDID のハッシュ処理後、デバイス ID をこの列に結合することができます。

RDID マッチングのクエリのワークフロー

  1. RDID を含む自社データセットを、Ads Data Hub アカウントが読み取り権限を持つ BigQuery データセットにアップロードします。
  2. device_id_md5 を自社データセット内の RDID の MD5 ハッシュ版と結合するクエリを記述し、実行します。

サンプル

ブランディング キャンペーンがアプリ内コンバージョンと LTV に及ぼす影響を定量化する

このクエリでは、ユーザーの平均 LTV とアプリ内コンバージョンの件数をキャンペーンごとに測定できるよう、CRM のデータを YouTube キャンペーンのリストと結合しています。

WITH crm_data as (
  SELECT
    UPPER(TO_HEX(MD5(UPPER(raw device_id)))) as device_id_md5, AVG(lifetime_value), SUM(iac)
  FROM 'projectname.crm_data' # first party transactions data keyed off device ID
)

SELECT
  branding_campaigns.campaign_id, crm_data.iac, crm_data.lifetime_value
FROM
  adh.dv360_youtube_conversions_rdid AS branding_campaigns
  branding_campaigns LEFT JOIN crm_data
  ON branding_campaigns.device_id_md5 = crm_data.device_id_md5
WHERE branding_campaigns.campaign_id IN (list of branding campaigns)

キャンペーンごとの収益を測定する

このクエリは、コンバージョンに由来する収益を定量化して Google 広告のキャンペーン ID ごとに示せるよう、取引データをキャンペーンと結合する方法を示しています。

WITH transactions AS (
  SELECT
    UPPER(TO_HEX(MD5(UPPER(raw device_id)))) as device_id_md5,
    transaction_amount
  FROM 'projectname.transactions' # first-party transactions data keyed off device ID
)

SELECT
  adh_conversions.campaign_id,
  SUM(transaction_amount) # first-party column for transaction amount as revenue
FROM
  adh.google_ads_conversions_rdid AS adh_conversions
  LEFT JOIN transactions ON (adh_conversions.device_id_md5 = transactions.device_id_md5)

CTV トラフィックのフィルタ

CTV IFA を cm_dt_impression_rdiddv360_dt_impression_rdid のビューで利用できるようになりました。これらのビューを照会する場合は、次の WHERE 句を追加して、CTV トラフィックのみを含めることができます。

WHERE event.dv360_device_type IN (3,4,5)