10 月の User-Agent の情報量削減に関する変更に備える

ユーザー エージェント文字列の現状、Chrome がこの変更を行う理由、ユーザー エージェントの準備

ユーザーのプライバシー保護を強化するため、Chrome では 10 月にブラウザのユーザー エージェント(UA)文字列で参照可能な情報を削減する次のステップが進められます。この変更に伴い、特定の情報に関してユーザー エージェント文字列に依存しているウェブサイトやサービスでは、対処が必要になる可能性があります。

ここでは、変更の背景、Chrome が変更となる理由、準備のためにできることについて、背景情報を説明します。

ユーザー エージェント文字列が変更される理由

ユーザー エージェント文字列には、ブラウザとユーザーが使用しているデバイスの種類に関する情報が含まれます。UA 文字列は、ユーザー エクスペリエンスをカスタマイズするウェブサイトや、この情報を利用して bot や悪意のある攻撃を特定する不正防止プロバイダにとって有益な役割を果たしています。Chrome ではこうした重要なユースケースの維持に努めています。

とはいえ、この UA 文字列は、ウェブ プライバシーに関する現代の期待に応えるものではありません。デフォルトでは、ユーザー エージェント文字列は、ウェブ全体でユーザーを識別してトラッキングするために使用できる情報を提供します。また UA 文字列が提供する情報が必要なウェブサイトとサービスもあります

そこで Chrome では、UA 文字列でデフォルトで共有される情報を減らし、サイトやサービスが必要な情報のみをリクエストできるようにする新しい API、User-Agent Client Hints(UA-CH)を導入しました。Google はこのプランを 2020 年 1 月に最初に発表し、2021 年 5 月に段階的なロードマップを発表しました。この変更により、Chrome と他のブラウザの UA 文字列の情報が制限されます。

段階的なアプローチ

Chrome では、プライバシー強化のため UA 文字列の一部の削除を 4 月下旬にマイナー バージョンから開始しました。これを UA の削減と呼んでいます。

最新フェーズの一環として、Chrome では 2022 年 10 月下旬より、パソコン版ブラウザ向けの UA 文字列に含まれる OS バージョンやデバイス プラットフォームなど、その他の情報の削減を開始します。Google は、テスト手法の標準として、時間をかけて Chrome ユーザーに段階的にロールアウトします。次のフェーズは、2023 年 2 月にモバイルの Chrome ブラウザに対して行われます。完全なタイムラインは Chromium.org で確認できます。

フィードバックとテスト

この変更による影響を評価し、UA の削減と新しい UA-CH API に関する知見を共有してくださったことを嬉しく思います。この種のフィードバックにより、他者が全体として学習から恩恵を受けると同時に、ウェブ上のプライバシーを向上させる方法についてオープンに話し合うことができます。

たとえば、ブラジルのデジタル コマース プラットフォームの VTEX は UA Reduction のテスト結果を公開しましたが、支払いゲートウェイへの影響は確認できませんでした。ブラジルの不正防止プロバイダである ClearSale も、同様に結果を公開し、ユーザーのプライバシーを向上させながらユースケースを守れると結論付けました。Chrome では現在も関係者と協力して、他のユースケースの評価と、さらにテストを行っています。影響を受ける可能性のあるその他の種類のウェブサイトやサービスには、分析会社、不正防止プロバイダ、決済代行業者などがあります。

ユーザー エージェント文字列を使用する可能性のあるウェブサイトやサービスを運営している場合は、これをテストすることをおすすめします。Chrome では、User-Agent Reduction オリジン トライアルの実施が 2022 年 10 月中旬(M106)まで延長されています。chrome://flags/#reduce-user-agent を使用したフィーチャー トグルを使用して、ローカルテストも実施できます。

UA-CH API への移行に時間が必要な場合は、ユーザー エージェントの情報量削減のサポート終了オリジン トライアルにオプトインすると、2023 年 5 月(M113)まで従来の UA 文字列全体をサイトで受信できます。

最後に、サービスの提供に UA 文字列情報を使用するサードパーティ パートナーに今回の変更の影響が及ぶと思われる場合のために、サードパーティ ベンダーの顧客サイトに影響を与えることなくテストできる新しいツールが Chrome で開発されました。

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